(公財)横浜市男女共同参画推進協会は、壮年以降の非正規職シングル女性の仕事や生活の状況、直面している課題や困難、ニーズを明らかにするとともに、有効な支援策は何かを分析し、男女共同参画センターにおける新たな事業プログラムの開発に役立てることを目的に、「非正規で働くシングル女性(35~44歳)のニーズ・課題に関するヒアリング調査」(2014年)、「非正規職シングル女性の社会的支援に向けたニーズ調査」(2015年)を実施しました。また、翌2016年には、内閣府「平成28年度地域における女性活躍推進モデル事業」として、非正規職シングル女性の課題・ニーズ別支援モデルプログラムの開発を行い、プログラムを試行実施しました。
総務省「労働力調査(基本集計)」(2016年)によれば、非正規労働者の約7割は女性であり、働く女性の55.9%が、非正規労働者です。女性の非正規労働者というと、主婦パートやフリーターが多いと思われがちですが、最近では就職氷河期世代であるアラフォーのシングル女性が増えています。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査では、2014年のシングルの女性非正規労働者数は78万人と、2002年に比べ、3倍以上に増えています。(注1)また、同機構の調査は、壮年期の非正規職シングル女性の半数が、貧困状態にあることも示しています。(注2)
これらの調査研究や統計結果などから、非正規職シングル女性は今後も増え続けることが予想されます。なかでも非正規職で働く壮年以上のシングル女性の貧困リスクは高く、早急な対策が必要であると考えます。以上の背景を踏まえ、当協会では、非正規職で働く壮年のシングル女性が置かれる状況を明らかにし、貧困を未然に防止する支援策を検討するため、調査及びプログラム開発を行ったものです。
今後も当事者の声に耳を傾け、プログラム内容や実施手法が、回を重ねるごとに充実し、非正規職で働く壮年のシングル女性のニーズにより応えるものになるよう、改善していきたいと考えています。しかし、この問題は男女共同参画センターのみで解決できるものではありません。また、非正規職シングル女性の苦しみや悩みは、当事者だけのものではなく、すべての働く人を含む社会全体の問題でもあります。
社会全体でこのテーマについて考える機会が広がり、国や自治体、研究機関などによる非正規職シングル女性の課題に迫る大規模な調査が進むこと、またそれら調査を通して社会構造全体のゆがみから生じる不公平が国や自治体の施策により是正されていくことを切に願います。
注1) 独立行政法人労働政策・研修機構「壮年非正規雇用労働者の仕事と生活に関する研究報告―就職氷河期から『20年後』の政策課題―」(2015年)
注2) 独立行政法人労働政策・研修機構「壮年非正規労働者の仕事と生活に関する研究―現状分析を通してー」(2014年)